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第三回 ワクチンについて
感染経路 感染症は猫以外からも持ち込まれます。 室内飼育だからといって安心はできません。飼い主はもちろん、来訪者や、多頭飼育中のどうぶつ、または靴や衣服など、あらゆる方法で感染する可能性があるからです。外出中に感染どうぶつに触れてしまったり、排泄物を踏んでしまったりすることで、家の中に感染源を持ち込んでしまう場合があります。 完全室内飼育でも、予防のためにワクチン接種をすることをおすすめします。 猫のワクチン接種は、法律で定められているものではありません。しかし、前述のとおり、感染のリスクは室内飼育の場合も十分あるので、定期的なワクチン接種を心がけましょう。 猫のワクチンの種類 2022年現在、7種の感染症に対するワクチンがあります。 ① 猫ウィルス性鼻気管炎(猫ヘルペスウイルス感染症) ② 猫カリシウイルス感染症 ③猫汎白血球減少症【猫パルボウイルス】 ④猫クラジミアウイル感染症 ⑤ 猫白血病ウイルス感染症 ⑥ 猫免疫不全ウイルス感染症(FIV、猫エイズウイルス) これらは3種ワクチン、5種ワクチンといったように、組み合わさって混在したもの(混合ワクチンと言います)が製剤化されているため、何本も注射を打つ!というものでもありません。 このうち①②③は、すべての猫に接種することが推奨されており「コアワクチン(3種ワクチンといえば、この3つを指す場合がほとんど)」と呼ばれています。 ただし、接種したから感染しないというわけではなく、個体差にもよりますが、発症しても重症化しないと理解してください。 また、非常に感染力が高いうえ、蔓延している地域も多いため、室内飼いであっても接種しておくことが望まれます。他は「ノンコアワクチン」と呼ばれ、地域やライフスタイルによって、接種するかどうかを個別に考慮します。 一般的には、外猫や、多頭飼育のように、他の猫と接触する機会がある場合は、3種ワクチン以上の種類を接種することが望ましいと言われています。かかりつけの獣医師と、ご自身と猫の生活環境について相談し、その環境に合ったワクチン接種をしましょう。 私の家の子達は全員ワクチン接種しています。 ワクチンの接種時期 生まれたばかりの子猫は、母乳(初乳)中に含まれる母猫からの免疫(移行抗体)が、さまざまな病気から守ってくれます。しかし、この移行抗体は日ごとに減少し、生後数ヶ月かけて徐々に消失してしまいます(消失時期には個体差があります)。 そのため、子猫でもしっかりワクチン接種を行う必要がありますが、一方で、移行抗体が残っている時期は、ワクチンを接種しても効果が十分に発揮されないため、何回かの追加接種が必要となります。 私たちが保護した子猫は保護時に1回、1ヶ月後に2回目を接種。その後は2回目接種から1年ごとに接種します。 ワクチン接種の適切な時期の判断については、猫の健康状態や体質などが大きく関係します。かかりつけの動物病院に相談することをおすすめします。ワクチン接種するときは、元気で健康なときに受けることが大事です。なぜなら、ワクチン接種がもたらす身体への負担は、小さくありません。状態によって、期待する免疫がつかなかったり、体調が悪化する場合も珍しくありません。 家でもしっかり観察して、ちゃんと元気のある状態のときに病院に連れて行きましょう。 また、治療中の病気や服用中の薬などがある場合は、ワクチン接種についてかかりつけの先生によく相談をしましょう。 接種費用 病院によって差異はありますが、3種混合で4,000〜5,000円程度です。詳しくはかかりつけ医に確認してください。 次回はワクチンで防ぐ病気についてご紹介します。