子猫の保護を中断します。高森譲渡会は8月4日(日)、綿半ホームエイドアップルロード店の譲渡会は7月28日(日)です。

第一回 TNR活動と避妊去勢手術

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第1回TNR活動と避妊去勢手術

あまり耳馴染みのないTNR活動というワードですが、ご存知でない方に猫の繁殖力からわかりやすく説明したいと思います。少し長くなりますが、お付き合いくださいね👆

TNRとは、Trap・Neuter・Return(トラップ・ニューター・リターン)を略した言葉で、捕獲器などで野良猫を捕獲(Trap)し、不妊・去勢手術(Neuter)を行い、元の場所に戻す(Return)ことです。望まれない出産をなくし、殺処分数を減らすのに有効な最も手段と考えられています。

参照:公益財団法人どうぶつ基金

よく耳にする話として、「餌をやっていたら増えてしまった」「ご近所とのトラブルになってしまった」など、一度ご近所トラブルになってしまうと猫たちもかわいそうですし、ご本人も嫌な思いをされることと思います。
私個人の思いは、地域と猫との共存、猫たちを地域でかわいがっていただき、その場で一生を過ごせることが望ましいと考えております。

まず、無責任に餌やりだけをやることのないようご注意ください。一般的には餌をあげる事イコールその猫の飼い主とみなされます。餌をあげるのであれば、発情期マーキングや鳴き声などで、ご近所の迷惑にならぬよう糞尿の始末、避妊去勢手術までお願いします。

猫の繁殖力
猫の繁殖力は哺乳類の中でも突出して高いと言われています。
それは猫の生殖メカニズムが私たち人間や、犬などと全く違う点にあります。

猫の交尾について

ヒトや犬など多くのほ乳類は「自然排卵」といって、メスが排卵する前後のわずか数日のうちに運よく交尾があれば受精(妊娠)する仕組みになっています。したがって、タイミングによって妊娠するかしないかが変わってきます。
これに対し、猫は交尾をした刺激で排卵します。いわば精子を迎えるように排卵が起こるため、交尾すればほぼ確実に妊娠します。これを「交尾排卵」といい、ほ乳類の中でも猫とウサギなどごく一部の動物しか行わないめずらしい妊娠形態です。
猫は単独行動を好むなわばり動物で、ふだんはオスとメスが別々にくらしているため、少ない交尾の機会に確実に妊娠できるようなしくみになっていると考えられています。
猫は日照時間が長くなると発情するので春(2~4月)が発情期といわれていますが、子育て中でない、栄養状態が良い、人工光の明るさなどの条件が揃えば一年中いつでも交尾、出産することができます。飼い猫はこれにあてはまります。

猫の妊娠期間と出産について

猫の妊娠期間は約2ヶ月(60~68日)で、一度の出産で平均5頭(4~8頭)出産します。
そして、約2ヶ月後に子猫が離乳すると次の妊娠が可能になります。その子猫も生後6ヶ月前後で繁殖可能年齢に達するので、繁殖サイクルが非常に速いことが特徴です。
また、猫は交尾によって排卵、受精が起こるので、タイミングがあえば2頭のオス猫の子どもを同時に妊娠することがあるなど、妊娠率・出産数の高い動物です。
環境省は計算上、1匹のメス猫が3年後には2000頭以上に増えると試算しています。

餌と野良猫の繁殖について

猫はなわばり動物で、餌がある場所を中心になわばりを作り、他の猫がなわばりに入ろうとすると追い出します。
しかし、なわばりを作るのは自分の餌を守るためなので、餌が豊富にあると他の猫が入ってこようとしてもそれほど気にせず共存するようになります。室内飼育で複数の猫を飼っても争わないのはこのためです。
また、猫は嗅覚が人間の数万倍といわれるほど優れているため、遠くからでも餌がある場所を嗅ぎ分けることができます。
さらに、猫はもともと「待ち伏せ」型の狩りをする動物なので、一度でも餌が捕れた(もらえた)場所には強く執着します。

つまり、餌が豊富にあれば猫はなわばりを作らなくなり、普段は別々に暮らすはずのオスとメスが同じ場所で暮らすようになります。その結果、餌が豊富にあるところは「猫のお見合い会場」となり、次々と子猫が産まれます。

猫の避妊去勢手術について

猫はこのように非常に繁殖力の強い動物です。
近隣に迷惑をかけていない限りにおいて、餌やりそのものが必ずしも悪いわけではありませんが、餌やりの結果、繁殖がうながされ、生まれてきた子猫には厳しい運命が待ち受けています。
私達が住む飯田下伊那地域は悲しい事に、猫の殺処分率が非常に高いのです。
不幸な命を増やさないためにも、飼い猫だけでなく餌やりをする場合にも、動物病院などで避妊去勢手術を受けさせてください。

次回は避妊去勢手術の実際やメリット、デメリットについてお話しします。
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